米国株オプション取引実践記

株式オプションを使ったローストレス資産運用の記録

【運用方法】オプションの基本解説(2)

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このページでは、オプションの価格(プレミアム)について深掘りし、値動きの重要な特徴を説明していきます。

 

このブログについて

このブログでは米国株オプションを使った資産運用を実践しています。マイナーなオプションという金融商品を使い、ストレスの少ない取引で月平均1%の利益が目標です。

【注意】ティッカーシンボルは先頭1文字だけ公開しています。

 

オプションプレミアムの変動要因

前のページでオプションチェーンを紹介しました。多数のオプションが並び、各オプションが現時点で市場においてどの価格で取引されているのかを知ることができます。

ここでは各オプションの価格がどのような要因によって変動するのかについて説明します。

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オプションチェーンの一部(原資産Facebook、2020/1/13時点)

 
オプション価格(プレミアム)が派生元である原資産の価格(Facebook株価)に連動して変化するのはもちろんですが、他にも満期までの残存日数ボラティリティによっても変動します。

各変動要因についてオプションチェーンを参照しながら説明します。共通しているのは、満期日において権利行使できる可能性が高くなるほどプレミアムが高くなるということです。

 

プレミアム変動要因1:原資産価格

コールで考えてみます。コールは原資産を権利行使価格で買える権利なので、原資産価格が高くなるほど満期日において権利行使できる可能性が高まります。従ってプレミアムは高くなります。
上図オプションチェーンの「FB Jan31'20 215 Call」だけに注目します。1/13時点でFacebook株価が$218.0で、このオプションのプレミアムは$8.7です。
仮に株価が$230だとしたら、このプレミアムは約$17ともっと高くなります。株価$218.0の現状と比べて、満期日に株価が$215を上回る可能性が高いためです。逆に株価が$205だとしたらこのプレミアムは約$3と低くなります。

プットでも考えてみます。プットは権利行使価格で売れる権利なので、コールとは逆に原資産価格が低くなるほど満期日において権利行使の可能性が高まり、したがってプレミアムは高くなります。これもオプションチェーンで一つの銘柄だけに注目し、株価が低かったら?高かったら?と仮定してみるとプレミアムの動きを想像できます。

 

プレミアム変動要因2:残存日数

満期までに残された時間によってもプレミアムは変化します。原資産の株価は日々上昇したり下降したり変動しますので、時間があるほど変動幅が積み重なって大きくなる可能性があります。例え現在の株価が権利行使価格に達していなくても、満期まで多少でも時間が残されていれば最終的に目標に達して権利行使できる可能性があります。その時間が長いほど権利行使の可能性はより高まり、プレミアムが高くなります。

上図のオプションチェーンでは満期日によってJan17'20(4日)、Jan24'20(11日)、Jan31'20(18日)と3つのブロックに分かれています。カッコ内が満期までの残存日数を表します。各ブロック内の同じ権利行使価格の銘柄どうしを比べると、残存日数が多いほどプレミアムが高いことが分かります。

 

プレミアム変動要因3:ボラティリティ

ボラティリティは分かりにくい概念ですが、今後の株価変動に対する投資家達の心理と言えます。ボラティリティが高いという状態は、投資家達が今後株価が大きく(上昇か下降かは問わず)変動すると考えている状態です。株価が大きく動くと満期日において権利行使の可能性が高まるという論理で、ボラティリティが高まるとプレミアムが高くなります。

ボラティリティについては逆説的に考えると理解が深まります。つまり、投資家達が今後の株価変動をどう考えているかを数値化したものがボラティリティであるということです。オプションは金融商品ですので市場において銘柄ごとに、買い手と売り手の攻防の結果価格が決まっていきます。多くの投資家達が今後株価が大きく動き権利行使の可能性が高くなると考えればオプション価格は高く押し上げられます。このようにプレミアムには投資家達の心理が込められています。それを逆算して(他の変動要因である原資産価格の変化、残存日数の影響を排除して)数値化したものがボラティリティとなります。

この逆算したボラティリティをIV(Implied Volatility)と言います。上図のオプションチェーンには満期日ブロックの右肩にIVが表示されています。IVは銘柄毎に計算されるものですが、ここに表示されるIVはブロック毎の平均です。

なお、満期日Jan31'20のブロックはIV:32.7%と他より高くなっていることが分かります。Facebookは2020/1/28に決算発表を予定しています。決算発表で株価が大きく(上か下かは分かりませんが)動く可能性があり、それを投資家達が警戒してプレミアムを押し上げている状態のためIVが高くなっています。

 

他の変動要因について

厳密には短期金利もプレミアムの変動要因になります。ですがこの変化がプレミアムに与える影響はとても小さいので、当ブログでは無視しています。

 

本質的価値と時間価値

ここからは一つのオプション「FB Jan31'20 215 Call」に注目して、プレミアムの構成と変動要因から受ける影響についてみていきます。

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この図は「FB Jan31'20 215 Call」のプレミアムが、上記の変動要因1である原資産価格によってどう変化するかを表しています。変動要因2の残存日数は18日に固定、変動要因3のボラティリティは37%で固定です(37%というのはこのコールの1/13時点の価格である$8.7から逆算したIV)。

 

プレミアムは「本質的価値」と「時間価値」とに分けられます。

本質的価値

本質的価値は図を見てわかる通り、原資産価格が権利行使価格215を超えたところから価値を持ち始めます。

本質的価値は、オプションを権利行使して原資産に転換したときの価値といえます。
1/13時点のFacebook株価は$218.0ですが、このときこのコールの本質的価値は$3.0です。もしこのコールを持つ投資家が1/13に権利行使すると、コールは買値$215の株に転換され、株は$3.0の含み益を持ちます。つまりオプションの本質的価値は権利行使により株の利益に転換されます。
株価が権利行使価格である$215より下の場合に権利行使することはないので、本質的価値はゼロです。

 

時間価値

時間価値は、プレミアムから本質的価値を除いたものです。この意味付けを説明するのは難しいですが、満期日において権利行使がどの程度出来るか?の不確実性を表すと言えます。

上の図で原資産価格が$215のときこの不確実さは最大になります。権利行使できるかどうか、権利行使価格である$215を挟んでどっちに転ぶか本当に分からない状態です。
しかし原資産価格が例えば$150の時はどうでしょうか。権利行使の可能性はほんの少しはありますが出来ないのはほぼ確実という状態です。不確実さはほとんどありません。
同様に原資産価格が$250の時は、権利行使の可能性は濃厚で確実性が高く、不確実性は低い状態です。

 

上の図ではプレミアム変動要因2の残存日数と変動要因3のボラティリティは固定でしたが、これらの要因によっても時間価値は変わってきます(不確実さが増えたり減ったりします)。

残存日数が30日、18日、10日の3パターン、ボラティリティが20%、37%、45%の3パターンの合計9パターンを図示します。

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見て分かる通り、残存日数が少なくなればなるほど時間価値は減ります。またボラティリティの増減も時間価値に大きく影響していることが分かります。一方、本質的価値は全く変わっていないことも分かります。

 

時間価値は必ず減衰する

時間価値には、時間とともに減っていく(減衰する)という非常に重要な特徴があります。不確実性の話でいうと、満期まで時間がたっぷり残っている状態は、原資産価格の動きやボラティリティの影響を受ける期間が長く、はたして権利行使できるのかどうかまだ見極められないという不確実性が高い状態です。ですが満期の目前になると、権利行使できそうかどうか大体分かってきます。原資産価格が権利行使価格付近にいる場合はまだ不確実性が残っているものの、権利行使価格から離れた位置であれば、ほぼ決着はついていて不確実性はほとんど無くなっています。そして満期日になったら権利行使できるかどうか最終的な結論が出て不確実性は無くなります。

 

このように時間価値は時間とともに減衰し、満期日で「必ず」ゼロになります。もちろん減衰していく途中、ボラティリティの影響を受けて時間価値が膨らむこともあります(上の9パターンの図でも分かります)が、満期に近づくにつれて膨らみはしぼみ、最終的に時間価値はゼロになります。

リスクだらけの相場の世界において「必ず」と言えることは他にないのではないかと思います。この優位性を生かす方法がオプションを売るという行為です。オプションを売ってプレミアムを受け取り、時間価値の減衰によりプレミアムが落ちていくのを待つのです。それがこのブログの運用方法の柱になります。

 

ところで、時間価値の減衰の仕方にも特徴があります。時間の経過に正比例して価値が減っていくのではなく、下の図のように、残存日数が少なくなるほど価値の減衰は急激になります。

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この図は変動要因1及び3の原資産価格とボラティリティを固定した状態で、残存日数が変化していったときのプレミアムの変化を表しています。だいたい残存日数が15日くらいからプレミアムの減り具合が増えていき、残存日数が0日になると時間価値は無くなり本質的価値だけが残ります。

この特性を生かせるように、このブログでは基本的に満期まで2週間未満のオプションを売り、急激なプレミアムの下落を狙っていきます。

 

まとめ

このページではオプション価格を深掘りして、価格が変動する要因、また値動きの特徴について説明してきました。

  • プレミアムは原資産価格、残存日数、ボラティリティの3つの要因で変動する。
  • プレミアムは本質的価値と時間価値に分解できる。
  • 時間価値は時間とともに減衰し最終的にゼロになる。
  • 残存日数が少なくなるほど時間価値の減衰は急激になる。

オプションの売り方にとって時間経過は味方になります。時間経過は一方通行なのでオプションを売って待っているだけで多くの場合、利益になっていきます。その特徴がローストレスで運用できる要因でもあり、このブログの運用方法の柱になっています。

オプション売りにはリスクがあるのできちんと備える必要があります。このページでリスクに備えた取引手法を紹介します。