米国株オプション取引実践記

株式オプションを使ったローストレス資産運用の記録

【運用方法】取引手法と取引例

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このページでは、当ブログで実践する取引手法を説明していきます。手法の考え方やリスクについて説明し、また取引手法を具体的にイメージできるように過去の取引を実例として取り上げます。

 

このブログについて

このブログでは米国株オプションを使った資産運用を実践しています。マイナーなオプションという金融商品を使い、ストレスの少ない取引で月平均1%の利益が目標です。

【注意】ティッカーシンボルは先頭1文字だけ公開しています。

なお、オプションにあまり馴染みが無い方は「オプションとは?」カテゴリを先にご参照ください。オプションの概念から値動きの特徴まで説明しています。

 

取引手法

運用方法の概要で触れたように、当ブログではオプションを売ってプレミアムを収益源にします。ですがオプション売りにはリスク(危険性)が伴います。ここではカバード・コール及びキャッシュ・セキュアード・プットというよく知られた戦略を紹介して取引の一連の流れを説明し、この手法についての考えをまとめます。

 

オプション売りのリスクに備える

オプションの売り手には、買い手が権利行使した場合に必ず応じなければいけない義務が生じます。その義務を果たした結果多大な損失を被ることがあるので、そのリスクを想定し備えておく必要があります。その備えがあって初めてオプション売りは実戦で使えるものになります。

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リスクに備えていないオプション売りを、ネイキッド・オプションの売りと言います。裸のオプション売りという意味で、防具も盾もない生身で戦場に放り出されたような状態を言い、つまり危険な行為ということです。ごくたまにニュースで「デリバティブ取引で甚大な損失を計上した」などと報じられますが、その多くが無茶なオプション売りが絡んだ取引ではないかと思います。 

カバード・コール(CCW)

コール売りのリスクは、権利行使価格での株の売り建玉を持ってしまうことにあります。売り建玉を持った時点でポジションは含み損の状態になっています。その後、株価は青天井に上昇する可能性があり、その場合大きな損失につながります。

このリスクには株をもって備えます。つまり株を保有している状態でコールを売り、権利割当された場合は保有株を引き渡すことで相殺します。それにより売り建玉を持ってしまうリスクを排除します。
重要なのは保有している株数以上のコールを売ってはいけないことです。500株を保有している場合に売ってよいコールは5枚までです。

この戦略をカバード・コール(CCW:Covered Call Writing)と言います。株でリスクがカバーされたコール売りという意味です。 

キャッシュ・セキュアード・プット(CSP)

プット売りのリスクは、権利行使価格での株の買い建玉を持ってしまうことです。

このリスクには現金(証拠金)をもって備えます。株を買えるだけの十分な証拠金を持っている状態でプットを売り、権利割当された場合は株をそのまま保有します。保有した時点でポジションは含み損の状態であり、今後の株価次第で含み損が膨らむリスクは残ります
重要なことは株を保有できないほどプットを売ってはいけないことです。プットを5枚売る前提は、500株を維持して行けるだけの証拠金があることです。

この戦略をキャッシュ・セキュアード・プット(CSP:Cash Secured Put)と言います。現金担保されたプット売りという意味です。

取引数量について

米国市場では株式は100株単位での取引が基本です。1株での売買もできるようですが基本は100株単位です。オプションは1枚単位の取引なのですが、1枚のオプションが権利行使により100株に転換されます。はじめは戸惑いますがルールとして「オプション1枚は株式100株」と覚えてください。
またオプションは価格を100倍した金額で取引されます。あるオプションが$1.0の時、それを売却すると$100の利益を得られます。これもルールとして覚える必要があります。

 

取引の流れ

次の図のようにCSP⇒CCWの順に実行します。CSPを実行し、プットが権利割当となり株を保有した場合はCCWの実行に移行します。コールが権利割当となり保有株がなくなったら一連の流れは終わります。

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ただしこれは基本的な流れであって、相場の状況によってCSPやCCWを中断・再構築することは多いです。また場合によっては株を損切りすることもあり得ます。

POINT

「取引記録」カテゴリに毎週取引内容を公開しています。観察していただくとプットやコールの売買がこの流れに沿っていることが分かると思います。

 

この取引手法について

CSPもCCWも非常に簡単な仕組みで実行手段も単純です。証拠金が十分あるかを確認してプットを売る、株を持っていることを確認してコールを売るだけです。ですが、この手法を実施することで、過度なリスクを負うことなく、プレミアムを収益源とする勝率の高い取引ができます。次の観点で考えます。

売り枚数の上限が設定される

CSP及びCCWを忠実に実行することでオプションの売り枚数には制約が加わります。つまり無茶なオプション売りができなくなります。

オプション売りは勝率が高くしかも証拠金をあまり必要としないため、数多くのオプションを売りたいという欲にかられます。数多く売っても勝つときは勝つのですが、たった一度の負けが致命傷になることもあります。そういうギャンブル的なトレードをルールとして出来ないようにする効果があります。

ストレスの少ない運用ができる

この手法が安定して利益を積み上げるのは、株価が横ばい又は上昇で推移するときです。株価が一時的に下落してもその後同じ水準まで戻せば利益で終われます。しかも各取引においては時間価値の減衰効果により時間経過も味方になります。

勝率が高いこと、確定利益が積み上がっていくこと、時間価値の減衰効果をメンタルの拠り所にできることで、ストレスの少ない運用ができます。

権利行使価格の設定で利益が変わる

どの権利行使価格のオプションを売るのかで利益の大きさが変わってきます。高額プレミアムのオプションを売ることで収益が大きくなりますが、一方で権利行使される可能性も高まります。今後2週間程度の株価予想をもとに、権利行使される可能性と見込める利益のバランスを考えて権利行使価格を決めていきます。権利行使されることが望ましい場面では、積極的に高額なオプションを売り利益を大きくすることも出来ます。

原資産の選定が重要

上記CSPの説明にあるように、保有株の下落リスクは残ります

この手法が損失となるのは、株価が下落を続け今後回復する見込みが無いと判断し、株を損切りする場合です。十分な証拠金をもって株を保有しているとはいえ、回復の見込みが無ければ損切りの判断に至る場合はあります。

そのような事態を回避するために原資産となる株式銘柄の選定が重要になります。大きく株価を落とす可能性が低い銘柄、一時的に株価が落ち込んでも回復する可能性のある銘柄です。株を保有し続ける中でコールを売って利益を積んでいくことができるので、長期保有に耐える銘柄を選ぶことが重要です。

 

取引例(N株、2019/7/15~2020/1/17)

実際の取引例として2019/7/15~2020/1/17のN株(【注意】ティッカーシンボルは先頭1文字だけ公開)の取引を紹介します。

チャート上にオプションを売った日をプロットしています。番号は取引リストの番号に対応しています。またプロットの上下位置は権利行使価格を表しています。

 

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最初(#1)に売ったプットがすぐに権利割当となって$330で株を持つことになり、以降(#2~#13)コールを売って細かい利益を積み重ねました。

株価が急回復してきた時(#14,#15)にコールの損切りと売り直しをしていますが、これは権利行使価格320のコール(#14)を、330のコール(#15)にしたかったためです。株は建値が$330ですので330のコールで権利行使されないと株の損失が発生してしまいます。

株価が十分回復した時(#16,#17)は高額のオプションを売れます。最終的に権利行使価格332.5のコールで権利行使されたので、株の方でも$250の利益になりました。

注意点

権利行使されたオプション(#1,#17)の利益について、上の表では分かり易いようオプションに計上されるように書いていますが、実際には株式の方に計上されます。つまりオプション#1,#17は損益0になり、株式は損益が217+660+250=1,127になります。

 

まとめ

ここまで、取引手法について説明してきました。

実際に取引してみると分かりますが、かなりストレスの少ない取引ができます。時間を味方に付けプレミアムから利益を得ていることで、株価の上げ下げを過度に気にすることなく相場を見ていられるようになります。ただしリスクは残ります。保有株が回復の見込みのない状況になれば大きな損切りにつながります。そのため株式銘柄の選定が重要になります。