このページでは、IB証券の取引手数料について取り上げます。
このブログについて
このブログでは米国株オプションを使った資産運用を実践しています。マイナーなオプションという金融商品を使い、ストレスの少ない取引で月平均1%の利益が目標です。
- 取引内容や資産状況、実績は「取引記録」カテゴリで公開します。
- 具体的な取引手法などは「運用方法」カテゴリにまとめています。
- 取引に興味がある方は「IB証券」カテゴリをご覧ください。
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IB証券の取引手数料はとても安いです。例えばAppleを100株買う場合、日本の証券会社では取引手数料が20ドル程度かかりますが、IB証券では1ドルくらいです。ただでさえ安い取引手数料ですが、リベートによって更に安くできる可能性があります。どうすればリベートをもらうことが出来るのか、その方法を説明します。
IB証券の取引手数料の構成
IB証券の取引手数料は複雑な構成になっています。オプション手数料のページを見ると大きく3つの要素で構成されています。
- IB証券の手数料
- 取引所の手数料
- 関連機関(規制当局、FINRA、OCC)の手数料
簡単にIB証券と取引所の役割を説明します。
IB証券はブローカー(仲介業者)です。投資家と取引所の間に立って注文をつなぎます。
取引所は実際にオプションを売買する場所ですが、アメリカでは複数の取引所が同じ銘柄を売買しています。従ってブローカーは複数の投資家、複数の取引所の間に立つことになり、より高度な機能が求められます。
関連機関含め3種類の手数料があり、また手数料が発生する場合しない場合があるなど細かい条件が絡まって、なかなか実態がつかめません。
そのため実際の例を紹介します。
2019年の取引手数料の実態
次が2019年の1年間でタナックが取引したオプションの、手数料と約定代金をまとめた表です(手数料は前述3種類の合計)。
手数料($) | 約定代金($) | 割合 | |
---|---|---|---|
合計 | 402.29 | 23,266.00 | 1.7% |
平均 | 1.47 | 84.91 | 1.7% |
最大手数料 | 5.11 | 56.00 | 9.1% |
最小手数料 | -0.47 | 15.00 | -3.1% |
件数は274件です。手数料がゼロの取引(満期消滅や権利割当)は除いています。
手数料が平均1.47ドルととても安いことが分かります。約定代金に対して1.7%です。取引に際して手数料はほとんど気にする必要ないくらいです。オプション取引は含み益になる確率が高いので、ある程度含み益になったら満期が近くてもどんどん利益確定していくべきと思います。
ここで注目は、最小手数料がマイナスであることです。取引をしたにも関わらず手数料がタナックの受取りになっています。これには取引所から受け取るリベートが関係してきます。
2019年は19件の株式取引をしました。平均手数料は1.2ドル、平均約定代金26,024ドルに対して0.005%という数値でした。オプション以上に安い手数料です。
取引所手数料の仕組みを理解する
取引所の手数料の仕組みは特徴的です。例えば「BATS」という取引所の手数料を見てみると「Remove Liquidity(流動性の削減)」、「Add Liquidity(流動性の追加)」という分け方で手数料が記載されています。流動性の削減はプラス、流動性の追加はマイナスの手数料です。マイナスの手数料ということは投資家への払戻しです。
流動性について説明すると、流動性と言うのは取引所の板に並んでいる注文の量のことを指しています。ある投資家が商品を買いたいと取引所を覗いたとき、取引所に売り注文が並んでないと投資家は商品を買えません。取引所としては、売り注文や買い注文をたくさん並べて(流動性を高くして)、投資家の取引需要に対応できるようにすることが重要な役割になります。
そのため、流動性を減らす注文をした投資家から手数料を徴収し、逆に流動性を増加させる注文をした投資家にはリベートを払うという体系になっています(もちろん注文しただけで手数料やリベートが発生するのではなく、約定した場合です)。
つまりリベートを受け取るためには、IB証券から発注する際に板に指値を置くようにし、他の投資家に約定してもらうようにすることです。逆に、成行注文や買い板に売り指値をぶつけるような注文は流動性を削減することになるので、これを避けます。これらを心掛けることで取引所からリベートを受け取れる可能性が高まります。
なお、IB証券のナレッジベースにこの説明があります。
スマート・ルーティング
リベートによってトータルの取引手数料を減額させることができます。場合によっては実例にあったように投資家の受取りになることもあります。
取引所によってリベートの金額は異なり、中にはリベートを出さない取引所もあります。それら条件の異なる複数の取引所から、投資家にとって最良価格で約定できる取引所を自動選択してくれる機能がIB証券にあります。その機能をスマート・ルーティングといいます。
TWSを使って発注する際、デフォルトでスマート・ルーティングを使う設定になっています。そのため投資家は、取引所によるリベート金額の違いを意識することなく(取引所が複数存在することすら意識する必要なく)最良の取引所で取引を行うことが出来ます。
ただし、リベートに意識がいくあまり、そもそも取引約定を逃して機会損失になってしまえば本末転倒です。指値注文を置いていても約定に至らないことは多々あります。時には既存の板にぶつける注文を出して自ら約定させることも有効と考えます。冒頭で見たようにIB証券の取引手数料はそもそも安いので、リベートをもらえたらラッキーという感覚でよいのではないかと思います。
株式の取引手数料の体系には「変動型」と「固定型」の2種類あり、投資家が選べます。取引所からリベートを受けるには「変動型」を選択しておく必要があります。
まとめ
このページではIB証券の取引手数料は、取引所からリベートを受けることで更に安くできることをみてきました。リベートを受けるには、TWSで発注する際に指値を置いて他の誰かに約定してもらうことを心掛けることです。
ですがIB証券の取引手数料は元々とても安いので、リベートに拘り過ぎることの無いよう意識したいです。
以上です。